巨人が30日のヤクルト戦(東京ドーム)に3―4で惜敗し、連敗で首位の阪神とは2・5ゲーム差に拡大した。貯金1で4月の戦いを終えたものの、チーム内からは不振の大城卓三捕手(31)を気遣う声が上がっている。それは本人の状態というよりも、ファンの間から飛び交う度を越えた誹謗中傷に対してだ。

 終盤に思わぬ誤算に見舞われた。1点リードで迎えた7回に勝利の方程式の一角を担うルーキー・西舘が3番手で登板。何とかリードを守り切りたいところだったが、安打と2四球で二死満塁のピンチを招き、サンタナに2点適時打を浴び、試合をひっくり返された。

 それでも試合後の阿部監督は「それまでの頑張りもあるしね。また明日、抑えればいい話ですから」と右腕を責めず「みんなしんどいのは分かっていますけどね。こっちも必死になって戦ってね、とりあえずは9連戦を終えたいと思います」と前を向いた。

 チームにとって苦しい戦いが続く中で、特に悪戦苦闘しているのが大城卓かもしれない。この日は1点を追う8回二死三塁の場面で代打で登場したものの空振り三振。打率も2割3厘まで下がり、開幕スタメンマスクをかぶった男も最近では小林や岸田に正捕手の座を脅かされ、ベンチスタートの日が増えている。

 そんな大城卓に対してファンからの風当たりも日に日に強まり、敗戦後のSNS上では「大城のせい」がトレンド入りする日もあるほど。大城卓を擁護するファンとそれに対して意見を持つファンが言い争うことが何度もあり、一部のユーザーからは誹謗中傷めいた過激な投稿も散見される。

 そのため、チーム内からは「さすがにあれはやりすぎですよ…」と憂う声も出ている。

「今の時代はスマホを通してファンの声が直接選手たちの目に入る。叱咤激励や厳しい声は、プロの選手である以上受け入れる義務もあるかもしれないけど、明らかに目に余る心ない言葉も目につきます。選手が言わないだけで、DMで直接罵詈雑言を送りつけてくる人も決して珍しくはないんです。気分のいいものではないですし、そういうことだけはどうかやめてあげてほしいです」(前出チーム関係者)

 NPBや各球団は選手に対する誹謗中傷をやめるように、インターネット上や球場でも注意喚起をより強化している。侮辱や脅迫まがいの行為に、大城卓を気遣う周囲の仲間たちは心を痛めている。